石油給湯器の交換・買い替えを検討している人は、
- 給湯器って大体どのくらい持つの?
- 今ここで買い替えたら、実は損なんじゃない?
- もし修理してちょっとでも使えるなら、新品への交換はもうちょっと先にしたい
など、石油給湯器の耐用年数や寿命について気にしている方も多いのではないでしょうか。
修理業者は「もう給湯器は寿命だから買い替えた方がいいよ」と簡単に言いますが、もし今修理することで1年でも2年でも使用できる可能性があるなら、それに賭けてみたいという気持ちもありますよね。
とは言っても、修理直後に「今度は別の所が壊れてしまった…」となってしまうようでは本末転倒です。本記事では給湯器の寿命と買い替え時期について、給湯器の耐用年数に注目しながら分かりやすく解説していきます。
石油給湯器の機器寿命は7年~10年
メーカーや修理業者などの見解は7年~10年
実際にメーカーのコンタクトセンターに問い合わせた際に言われる給湯器の耐用年数は「7年~10年」です。しかし給湯器は使用する頻度によって大きく負担が変わってきますよね?一人暮らしのご老人と大家族で使用している給湯器の寿命が同じ7年~10年とは考えにくいです。
ここで言う7年~10年というのはあくまで設計上の標準使用期間であり、あるルールの中で使用した時に安全上支障がなく使用できる期間とされています。…なんだかややこしい話になってきましたね。簡単に言うと「1日1時間の使用で10年間使用できる設計になっている」んです。
ご家族の人数が多ければそれだけ使用する時間も増えることが多いので、もし1日2時間使用しているようであれば5年で壊れてもおかしくないという計算になります。これがメーカーが公表している給湯器の寿命です。
給水温度が15℃で設定温度が40℃に設定されていることにも注目してみてください。寒冷地の場合だと年間の入水温度が15℃を下回るケースは多いでしょうし、シャワーを浴びる時は40℃以上に設定している人も多いのではないでしょうか。
これらの根拠によって「石油給湯器の機器寿命は10年」と言われています。
給湯器の寿命は種類や性能によっても左右される
前項では給湯器の寿命は7年~10年であると説明しました。しかしこれはメーカーが独自の基準を設けて大雑把に説明したもので、実際の機器寿命とは大きく隔たりがあるので以下で捕捉していきます。
給湯器には、大きく分けてガス給湯器と石油給湯器が存在します。実際の機器寿命はガス給湯器と石油給湯器で大きく異なりますし、お風呂の追い炊き機能がある機種とお風呂の追い炊きができない機種とでは、これもまた寿命が大きく異なってくるんです。
単純にガス給湯器と石油給湯器を比較すると、燃料の燃えカス成分の詰まりやすさが関係しているのかガス給湯器の方が長持ちする傾向が強いです。そして給湯器には「給湯専用機/風呂機能付き/暖房機能付き」と様々な機能を持っている機種が存在します。
もちろん給湯専用機よりも、給湯とお風呂機能を持っている機種の方が構造は複雑です。機械全般に言えることですが、構造が複雑になって使用感が便利になればなるほど、機器寿命は短くなっていく傾向にあります。
給湯器メーカーは、これらを全て一括りにして7年~10年と言っているわけです。
つまり石油給湯器を例に考えてみても、蛇口からお湯を出す機能しかない機種と給湯だけじゃなくお風呂にお湯張りもできて暖房機能もある機種を比べたら、それなりに耐用年数や寿命に差が出てくると考えるべきでしょう。
同じ石油給湯器でも直圧式とセミ貯湯式で寿命は異なる
石油給湯器の中にも、直圧式とセミ貯湯式の2種類が存在します。詳しくは別記事で解説していますが、両者の大まかな違いは以下の通りです。
- 直圧式:水とお湯の水圧が同じ、給湯温度を1℃単位で調整できる
- セミ貯湯式:水よりお湯の水圧が弱くなる、給湯温度の調整は大雑把
最近の貯湯式は「水圧が強く出来るもの/給湯温度を細かく調整できるもの」が登場しているので、一概に上記の項目が当てはまるというわけではありません。両者の明確な違いは、お湯の作り方です。
蛇口を開けた瞬間に火がついて、給湯器の中を通っている短い時間でお湯を作るのが直圧式。常にタンクの中にお湯を作っておくのがセミ貯湯式です。セミ貯湯式と言ったり、単に貯湯式と呼んだりします。
この両者を比較すると、構造がシンプルなのは貯湯式です。そのため故障に強く、機器寿命も直圧式に比べると長くなる傾向も強いです。セミ貯湯式の石油給湯器で追い炊き機能しか持たない機種だと、初めての修理が10年を超えているというケースも珍しくありませんが、直圧式の石油給湯器では修理をせずに10年超えという個体はあまりお目にかかれません。
給湯器の買い替え時期
7年を超えたら修理金額に応じて検討するのがベスト
給湯器の寿命は一般的に7年~10年となっているので、まずは7年を超えたかどうかで判断するのが1つです。私なら7年を超えている石油給湯器を修理するのに10万円を超える修理見積もりを出されたら、間違いなく新品に交換します。
理由は「7年を超えている段階での修理で10万円を超えてしまうと、その後で修理が重なっても引き返せなくなるから」です。
最初の修理で2万円ほど掛かり、間もなく別の箇所が壊れて今度は10万円掛かるとなったら、もう一度冷静になって検討できます。一方で、最初に10万円を超えた修理をしてしまうと、間もなく別の箇所が壊れてしまった場合に、修理金額に関係なく「修理する」以外の選択肢を選べないのではないでしょうか。
「前回修理したお金が無駄になってしまう…」と考えてしまうと、なかなか踏ん切りが付かなくなってしまうものです。その結果、次から次へと細かい修理をすることになり、結果的に買い替えられただけの費用が掛かってしまうという例も無いわけではありません。
石油給湯器の直圧式の給湯器となると、主要部品3つ(熱交換器、バーナー、リレー基盤)を交換すれば、部品代と作業料で10万円コースです。給湯器には数十点の部品が搭載されているにも関わらず、たった3つの部品を交換するだけで10万円近くの費用が発生してしまうんですね。
10万円を掛けて修理した時に、中身がほとんど新しくなっているというのなら考える余地はあるかもしれませんが、そうでもなければ10万円もかけて修理をするというのは、リスク以外の何物でもないように思います。
買い替え時期は「次に故障したら買い替える」と言えるかどうか
あまり使用していない状況や5年以内に壊れてしまった場合に、買い替えるという選択をする人はほとんどいないと思いますが、7年を超えてくるとちょっと悩むという人も少なくありません。
そんな時は、実際に私が自分の親にしているアドバイスなのですが、「次に故障したら買い替える」と言えるかどうかで、買い替えを判断するのがおすすめです。
今回の修理費用が「〇〇円」で、もし修理をした1週間後に今度は別の箇所が壊れたら…その時に買い替えるという決断をできるかどうか。もし買い替えの判断ができるなら、修理しても良いと思います。
10万円の修理をして、もし一週間後に別の箇所が壊れて、更に2万円掛かると言われたら、その時に「買い替える」という判断ができますか?できないのなら、最初の修理の段階で新しい給湯器への買い替えを検討した方が賢明です。
じゃあ8万円なら?じゃあ6万円なら?という感じで徐々に金額を下げていくと「これくらいなら賭けてみてもいいかな?」と思えるラインがあると思います。そこで修理に賭けてみる分には、恐らく後悔はしないでしょう。
人それぞれで金銭感覚は微妙に違いますが、大半の人は修理費用で15万円を超えてしまうと「最初から新しい給湯器に交換すれば良かった」と後悔するはずです。7年を超えて修理をする場合は、金額に応じて臨機応変に考えてみることをおすすめします。
使用10年に差し掛かる給湯器は点検を受けるルールが制定
2009年4月以降に製造された給湯器は「特定保守製品」と呼ばれ、10年を超えて使用する際は点検を受けるようなルールが制定されました。
現時点ではまだ義務化には至っておらず、点検を受けなかったとしても罰則はありません。点検料に10000円前後の費用が発生することからも、点検を受けないという判断をするユーザーもたくさんいます。
しかし給湯器の安全上のリスクについて、経済産業省が「機器寿命や耐用年数を無視して使用し続けることは危険な行為である」と認めてルールを制定した事実は無視できません。
業者に給湯器交換の話をされると、ユーザーによっては「新しい物を売りたいだけでしょ?」と思う人も少なくないと思いますが、今や石油給湯器は10年使ったら買い替えるか定期的に点検を受けるかを迫られている存在となっています。
給湯器の寿命は7年~10年、買い替え時期は修理金額と相談
給湯器の寿命は、1日1時間の使用で7年~10年です。ただしこれは大雑把な基準なので、シンプルな石油給湯器の場合は10年を超えて使用できるケースもかなり存在します。
使用環境によっても年数では簡単に判断できないので、あくまで平均的には7年~10年という基準を踏まえたうえで、今回の修理費用がいくらなのかを考えて検討するのがおすすめです。
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